昨今のGLP-1受容体作動薬にかんするニュースをまとめました.
※
・なるべく最新のエビデンスをもとに記事を作成していますが,個人の意見になります.
・特定の薬剤の使用を推奨するものではありません.
・利益相反はありません.
「飲み薬」GLP-1受容体作動薬,リベルサス®
2型糖尿病治療薬のひとつ,GLP-1受容体作動薬ですが,これまではインスリンと同様,注射タイプしか使用することはできませんでした.
そのため,導入のハードルが高く,治療コストも問題になっていました.
そんななか,2021年2月,経口GLP-1受容体作動薬「リベルサス®」が日本でも使用できるようになりました.現在は長期処方も解禁されています。
リベルサスに関しての記事はこちらもご参照ください.↓
GLP-1受容体作動薬を注射から内服に変更し,医療費抑制に期待
GLP-1受容体作動薬以外の注射薬を使用していない場合,注射から内服薬に変更すると自己注射指導管理料がなくなりますので,自己負担金が減ることがあります.
・リベルサス(経口セマグルチド)への患者負担,医療費抑制期待
— おだQ 💉 (@OdaQ_DM) 2020年9月24日
日本で使えるGLP-1受容体作動薬は注射製剤のみですが,これを安全に扱うために患者指導,血糖測定などが必要になってきます.
内服セマグルチドの価格は未定ですが,注射を離脱できただけでも月1-1.5万円程度の医療費抑制になります. pic.twitter.com/I7bBPn0YAb
飲み方が煩雑なのと、患者さんによっては、注射で効いてたのに内服で効果が不十分なこともあり、そのあたりは注意です。
GLP-1受容体作動薬はアジア人で効きがよい?
日本人を含むアジア人では,インクレチン関連薬(DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬)の感受性が高いことが知られています.
なお,リベルサス®の臨床試験であるPIONEER では,アジア人において,より血糖降下作用が高いことが示唆されています.
・続,PIONEER試験.
— おだQ 💉 (@OdaQ_DM) 2020年6月16日
経口GLP-1受容体作動薬のセマグルチド(リベルサス).ADA2020ではPIONEER 8試験までの結果まとめがポスター公開.アジア人では特にHbA1c効果が強いかもしれない.体重減少作用については人種差なし.#ADA2020 https://t.co/3kLANBbfyn pic.twitter.com/CDAYTnHwII
高用量のセマグルチド(Wegovy®),アメリカで減量薬として使用可能に
セマグルチドはGLP−1受容体作動薬のひとつ、オゼンピック®の有効成分です。
血糖改善効果だけではなく、高い減量効果が証明されていますが、現在は2型糖尿病の方以外には使用できません。安全性が証明できていないからです。
ついに『肥満症』単体の治療のためのGIp-1受容体作動薬が米国で承認されます。
— おだQ💉糖尿病の糖尿病医 (@OdaQ_DM) 2021年7月8日
Wegovyはウェゴビーって読むのかな?中身はセマグルチド2.4mgです。
…2.4mg!??🙄
世界初で唯一の体重管理のためのGLP-1 | 糖尿病リソースガイドhttps://t.co/Wf4xjn1FIOhttps://t.co/Wf4xjn1FIO
最近の研究で、糖尿病では無い方への投与の安全性や有効性が示され、アメリカでWegovy®という薬剤が承認されました。
「非2型糖尿病の肥満患者」の,GLP-1受容体作動薬の減量効果が証明されました.肥満症治療薬としての認可も近いかも.ただし,この試験の使用量2.4mgは日本の分量(0.25mg~1.0mg)よりだいぶ多いので,そりゃ痩せるよなという印象.
— おだQ💉糖尿病の糖尿病医 (@OdaQ_DM) 2021年3月3日
週1回のセマグルチド投与で体重15%減少 https://t.co/uGSqeFA5Ft
Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity | NEJM https://t.co/XVc2ENTIu7
— おだQ💉糖尿病の糖尿病医 (@OdaQ_DM) 2021年3月3日
以下、試験の概略です。
・平均年齢46歳
— おだQ💉糖尿病の糖尿病医 (@OdaQ_DM) 2021年3月3日
・体重105.3kg、BMI 37.9、胴囲114.7cm
・既に糖尿病,HbA1c 6.5%以上は除外
・68週目,セマグルチド群で体重-15.3kg、BMI-5.54、胴囲-13.54cm.プラセボ群で体重-2.6kg、BMI-0.92、胴囲-4.13cm.
・有害事象の割合は両群とも同程度(セマグルチド群89.7%、プラセボ群86.4%)
日本の常用量よりかなり多い用量での試験なので、そのまま本邦にもあてはめられるかは疑問ですが、肥満症治療薬としてかなり有効な選択肢になるかもしれず、期待しちゃいますね。
この数年間の糖尿病治療は大きく進んでいます。新薬が発表するたびにワクワクしますね!