早いもので,2023年も残りわずかとなりました.
ことしも糖尿病治療に関わる大きなニュースが目白押しでしたね!!
この記事では,2023年の糖尿病に関わる出来事をまとめたいと思います.
デュアルアゴニスト「マンジャロ」発売,そしてGLP-1RA供給不安定に
さて,2023年のビッグニュースとしては,デュアルアゴニスト製剤の「マンジャロ」発売でしょうか.
マンジャロ(一般名「チルゼパチド」)は,従来使用されていたGLP-1に加えてGIP受容体も活性化させるデュアルアゴニスト製剤として発売となりました.従来のGLP-1受容体作動薬に比較して,さらに高いダイエット(減量)効果をもつことから,一気に世界の注目を浴びることとなりました.
あまりに有効であるため,その需要が逼迫してしまい,注射デバイスである「アテオス」が供給不十分となり,同じメーカーのGLP-1受容体作動薬である「トルリシティ」の生産ができなくなってしまう事態に.
この記事を記載している2023年12月時点でも供給再開の見通しは立っていません.
なお,この影響を受けて,他社のGLP-1受容体作動薬「オゼンピック」も供給不安定となり,今現在は週1回のGLP-1受容体作動薬は新規処方することができなくなっています.
また,GLP-1受容体作動薬以外にも,ジェネリックメーカーの不祥事や,コロナウイルスによる物流混乱のあおりもうけて様々な薬剤の供給が不安定になる年でもありました.
来年以降はどうなるのでしょうか.
「糖尿病」から「ダイアベティス」に.変更はほぼ決定か?
2023年11月,日本の糖尿病団体のツートップである「日本糖尿病協会」「日本糖尿病学会」が合同で記者会見を開催し,糖尿病の次なる呼称として「ダイアベティス」という呼び方を提唱しました.
糖尿病は,ラテン語から由来する「Diabetes Mellitus(蜜のように甘い多尿)」の直訳ですが,人生の大半に影響する病気のに排泄物の名称がついているのはいかがか,ということで,昔から名称変更が議論の的になっていました.
また,2019年から日本糖尿病協会が主体となり,糖尿病の方の社会的地位向上を目指してアドボカシー活動がスタートし,そのロビー活動の一環として名称変更の議論に至った,というわけです.
名称に関しては糖尿病に関わる有識者がエキスパートパネルを開催し,英語名称のDiabetesをそのままカタカナ読みとすることで,海外標準にあわせる狙いがあったようです.
「ダイアベティス」に関しては,さまざまな意見が飛び交って議論されることとなりました.
週1回インスリン「イコデク」いよいよ発売間近に
2023年8月,ノボノルディスクファーマは週1回インスリン「イコデク」の製造販売承認申請を行ったと発表しました.
インスリンには大きく分けて,①ボーラスインスリン(速攻型インスリン)②ベーサルインスリン(時効型インスリン)の2種類があります.
時効型インスリンは,世代がすすむにつれてどんどん作用時間が長いものが開発され,ついに週一回の新しいインスリンとして「イコデク」が登場しました.
2020年,その治験の結果が発表され,その効果から一躍注目を浴びました.
インスリンの持続時間が長くなれば,それだけ血糖推移は安定することになりますし,血中のインスリン濃度が保たれますから,糖尿病ケトアシドーシスの発症リスクはさらに低くなることでしょう.
以上,簡単ではありますが2023年の糖尿病ニュースのまとめでした.
皆様はどのニュースが印象的でしたか?
それでは素敵な年末をお過ごし下さい.
来年も良い年でありますよう.
個人的には,週一回インスリンイコデクを早く使ってみたいワン.
2024年も糖尿病治療がどんどん進歩する年であってほしいですね!!