「オゼンピックフェイス」という言葉をご存知ですか?
オゼンピックフェイスは,SNS上で話題となった言葉で,急激な体重減少により,ほうれい線やシワが目立つようになったり,皮膚がたるんでしまうような顔になる現象の俗語です.
色々と検索してみると,どうも2023年上旬頃からSNS上で使われ始めた言葉のようです.
急激なダイエットにより,顔面の脂肪組織が減少し皮膚がたるむ結果,ほうれい線が目立ったり,目周り(眼窩)の落ちくぼみがみられるようです.
GLP-1受容体作動薬は,元々は2型糖尿病治療薬として開発,使用が認可されていましたが,その高い減量効果から肥満症治療薬(ダイエット薬)としても認可され,日本でも使用が可能になる見込みです.(ウゴービ)
もちろん美容痩身の分野で注目されないはずはなく,GLP-1受容体作動薬を用いた「GLP-1ダイエット」という言葉は広く使用されることとなりました.
しかしながら,その高いダイエット効果に伴う意外な副作用が注目されています.それが「オゼンピックフェイス」です.
その名の通り,GLP-1受容体作動薬のオゼンピックから由来しているのですが,GLP-1ダイエットを行っているんじゃないか,という疑いのあるインフルエンサーに対して,TikTokやInstagramなどのSNSで使われ始めました.
この問題点はSNS上にとどまらず,形成外科の査読付学術雑誌であるFacial Plastic Surgery誌でもその存在について指摘されています.
(Facial Plast Surg. 2023;39(6):719-721.から引用,筆者訳)
- オゼンピック,ウゴービ,リベルサス などによる急激な体重減少と脂肪減少は、顔面のを減少させ,皮膚のしわやたるみが特徴的な「オゼンピックフェイス」を引き起こす可能性があります。
- オゼンピックを処方する医療従事者は、顔への影響の可能性について患者にカウンセリングすることはほとんどありません。
- その結果、形成外科界は、急激な体重減少に伴う顔の変化を管理するという課題に直面しています。
実際,糖尿病専門医である筆者も,これまで顔貌の変化の可能性に関する説明は一度も行ったことはありませんでした.
もちろん,これはオゼンピックに特有の現象ではなく,ほかのGLP-1受容体作動薬や
無理なダイエットを行ったさいも同様と思われますので,オゼンピックだからこうなる,というわけではないです.
何事もペースを意識しながら行うということが重要,ということでしょうか.
処方する医療者も,減量ペースを意識した容量調整が必要と感じさせられました.