2021年5月26日,あたらしい糖尿病治療薬のツイミーグ®(一般名イメグリミン)が厚生労働省の承認をうけました.
新しい糖尿病治療薬,「イメグリミン」
2021年現在,糖尿病の飲み薬は,上図のように7種類(プラス,さいきん発売された経口GLP-1受容体作動薬のリベルサス®をあわせて,合計8種類)が開発されています.
イメグリミンはあたらしい糖尿病治療薬のひとつです.
日経メディカル:新機序の糖尿病治療薬イメグリミンが登場間近から引用
構造式をみてみますと,糖尿病治療薬のメトホルミンと大変似ていますね.
メトホルミンは,糖尿病治療薬の第一選択薬として使用される,効果の高い薬です.
イメグリミンは,メトホルミンの真ん中の窒素原子(N)をつないだ構造となっています.このちょっとした構造のちがいで,メトホルミンの効果に加え,「細胞のミトコンドリア機能改善効果」がもたらされるようです.
イメグリミンの作用は,メトホルミン+αというイメージ
イメグリミンとメトホルミンの効果をまとめました.
Hallakou-Bozec, S., et al. Diabetes Obes Metab — 2021より引用,一部改変
メトホルミンとイメグリミンの見た目はとっても似ています.
なので,効果も似ています.
メトホルミンもイメグリミン,どちらもインスリン抵抗性改善(インスリンが効きやすくなる)効果,肝臓での糖新生抑制効果があります.
いっぽうで,イメグリミンには
- インスリン産生の亢進効果があること
- 膵β細胞(インスリンを作るところ)の保護効果があること
が大きな違いです.
他の薬剤との併用効果はどうなのか?
糖尿病治療薬は何種類か組み合わせて使用するのが基本です.
他の治療薬との併用効果はどうでしょうか.
Poxel HP, TIMES2試験 から引用,一部改変
714名の日本人2型糖尿病患者を対象としたTIMES2試験では,他糖尿病薬との併用での安全性は問題なく,血糖改善効果もそれぞれ上乗せがみられました.
単体での使用では,HbA1cは0.46%との低下効果があり,とくにDPP-4阻害薬との併用で0.92%の低下がみられ,相乗効果は強いようです.
ただ,GLP-1受容体作動薬との併用では,逆に効果が減弱する結果となり,今後の報告が気になるところです.
通常,薬剤が承認されてから薬価収載を経て,発売するまでに1年程度です.実際に使用できるのは2022年6月頃になる見込みと思われます.
とってもたのしみですね.