インスリン治療は週1回?新しいインスリンの話

1週間の間,効果が持続する新しいインスリン,「アイコデック」の治験が進んでいます.

 

 この記事は下記論文を参考に作成されています.

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2022474

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 「ノボラピッド®」「トレシーバ®」など製造・販売しているノボノルディスクファーマは,週1回注射タイプの超時効型インスリン「インスリン アイコデック」を開発中です.

今回は,そのアイコデックの治験結果(第二相試験)をふまえ,簡単にご紹介します.

 

『インスリン製剤早見表2020-2021』 糖尿病リソースガイドより引用

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現在使用されているインスリンは,効果時間によって種類が分けられており
食事の血糖上昇を抑える「超速効インスリン」,長時間安定して血糖を抑える「時効型インスリン」,それらが混合されている「混合型インスリン」が主に使用されています.

そのうち,「混合型インスリン」に関しては,近年の医療技術の進歩により,どんどん作用時間が長いものが開発されています.

石橋クリニック「インスリン注射」より引用

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時効型インスリンの中でも,最初に発売された「レべミル®」は,12時間程度の効果でしたが,その後,24時間効果が持続する「ランタス®」,さらに,24-36時間程度の「トレシーバ®」「ランタスXR®」が開発,発売されています.

 

それで今回は,ついに1週間の効果が持続するインスリンが開発された,という話ですね.

 

 Diabetes jouralより引用

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インスリンアイコデックは,約192時間の持続時間をもつインスリンです.注射された後,血中の「アルブミン」という物質とひっつきます.
その後,少しずつアルブミンから分離しつつ効果を発揮するため,ゆるーく長く効く,ということになります.

 

実際の血糖低下効果はどうでしょうか?

NEJMより

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第二相試験では,毎日注射のインスリングラルギン(ランタス®)と比較し,
週1回注射のインスリンアイコデックは,より少ない単位数でHbA1c値は低下していました.(有意差はありませんでした.)

 

NEJMより

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また,気になる低血糖の頻度はというと,
レベル2以上の低血糖(≦54mg/dL) に関しては両群に差はありませんでしたが,
レベル1の低血糖(54-70mg/dL)に関しては,アイコデックが有意差をもって多かったようです.

軽度の低血糖は,アイコデック群でやや多い結果となりました.

 

通常,新薬は3段階の治験(第一相試験→第二相試験→第三相試験)を経て承認されます.今回の発表は第二相試験のため,もう一つの段階を経る必要があります.
実際の発売はもう少し先の話になりそうですが,個人的にはとても期待しています.

 

記載:2020年9月27日