来週11月14日は,世界糖尿病デー.

毎年11月14日は,世界糖尿病デーです.

今回の記事では,世界糖尿病デーについて,簡単に記載します.

 

インスリンの発見にさかのぼる

糖尿病治療に欠かすことができないインスリン.血糖を下げるホルモン薬です.

このインスリンは,約100年前(1921年)にカナダ・トロント大学のバンティング医師,ベスト助手によって発見されました.

当時は「アイレチン」と名付けられていました.

 

栗田 卓也. インスリン製剤の変遷をたどる
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当時,糖尿病に対する有効な治療法はなく,特に1型糖尿病は「不治の病」といわれていた時代でした.インスリンの発見は,糖尿病の治療学に大きな発展をもたらしました.

そして,バンティング医師はノーベル医学賞を受賞しましたが,インスリンに関する権利をたった1ドル(100円)でトロント大学に譲り渡したのです.
(通常,ここまで革命的な薬を発見した場合は,特許料だけでも相当な収入を得ることができるはずです.)

 

その後,インスリンの大量生産が始まり,当時 数百万人いた糖尿病の方の寿命を大幅に伸ばすことに成功しました.

 

糖尿病の方を「生かす」治療から,「変わらなく生活する」治療へ

その後, 現在も使用される「メトホルミン」「SU剤」など内服治療薬や,
アレルギーの出にくい合成インスリン,超速効型インスリンや時効型インスリンが開発・発売されるに至りました.

糖尿病治療は,次第に「生存させること」から,「合併症を起こさず,糖尿病でない方と同じような生活を送る」ことにシフトしていきました.

しかし,世界では糖尿病と診断される方は増え続け,合併症による失明や,血液透析に至る方は増加する一方でした.
この時の状況は,「糖尿病のパンデミック」と言われています.

 

odaqdm.com

 

そこで,「世界中の人々に糖尿病に関する情報や意識付けを行っていく日を作る」という目的で,バンティング医師の誕生日である 11月14日が「世界糖尿病デー」となることが決まりました.2006年の国際連合の決議でのことです.

 

ブルーサークルは「国連の旗色(青), 希望(空の色)」「団結(円)」を表す

International Diabetes Federation - Logo

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世界糖尿病デーのシンボルとして,「ブルーサークル」が有名です.
青は国連旗のカラーと空の色,円は医療者・患者含め,世界中の団結を表しているそうです.

毎年11月14日近辺では,さまざまな場所で青色のライトアップが行われます.

読売新聞-「世界糖尿病デー」、都庁舎が青にライトアップf:id:OdaQ_DM:20201107225129j:plain

自分は,毎年東京都庁のライトアップを見に行っています.
今年はコロナ禍で微妙なところですが,チャンスがあれば見に行きたいです.

お近くでライトアップの情報などありましたら,ぜひチェックしてくださいね.

 

なお,今年の世界糖尿病デーのテーマは,"DIABETES: Nurses make the difference,"
直訳すると「糖尿病:看護師が(治療に)違いをもたらす.」です.
我々医師だけでは糖尿病の方を治療することは絶対にできません.特に看護師さんには治療や生活面だけでなく,心理的な面でもお世話になっています.
世界では糖尿病の診療に携わる看護師が不足しており,今後の課題となっています. 

 

<参考資料>

・栗田 卓也. インスリン製剤の変遷をたどる 
http://www.saitama-med.ac.jp/uinfo/mnaika4/pdf/ditn01-11.pdf

・International Diabetes Federation ."The blue circle"
https://idf.org/who-we-are/about-idf/logo.html

・糖尿病リソースガイド.糖尿病医療 進歩の歴史.
http://dm-rg.net/history/medicine/