現在(2019年時点),世界の成人糖尿病の方は4.6億人にのぼりますが,2045人には7億人まで増加する見込みです.
この記事は以下の報告から作成されています.
ここ20年で,世界の糖尿病患者は3倍になっている
国際糖尿病連合(IDF)は,世界中の糖尿病患者増加を問題視しています.
(国際糖尿病連合,IDFのホームページから引用)
Global diabetes data report 2010 — 2045
現在(2019年時点),世界の成人糖尿病の方は4.63億人にのぼりますが,2000年と比べておよそ3倍まで増加しました.このまま増加を続けていれば,2045人には7億人まで増加する見込みです.
日本の糖尿病患者は減少に転じる見込み
IDFのホームページでは,国ごとに今後の糖尿病患者数の推計をみることができます.
日本においても,高度経済成長期において糖尿病患者の増加が問題になっていましたね.今後はどうかというと・・・
昭和後半から平成にかけての増加は著しかったのですが,2019年をピークとして,今後は減少に転じると予測されています.
ある程度糖尿病の知識,発症予防に関して,社会的に浸透してきた影響もあると思いますが,人口減の影響が大きいでしょうね.2045年には人口が7700万人に減少すると予想されています.
医療費の増加と,医療格差.
適切な治療が受けられない国は,合併症の頻度も高い
(同ホームページより引用)
これまで相当なスピードで増加していた アメリカ・ヨーロッパ諸国では,いったん糖尿病患者の増加に歯止めがかかる見込みです.
それに対し,今後は中国・インド・アフリカ諸国の糖尿病患者増加が著しく,今後10年でそれぞれで3000万人ほど糖尿病患者が増加するだろうと見込まれています.
ここで問題となるのが医療費の問題です.
糖尿病の治療にはお金がかかります.
現在,世界の医療費の1割が糖尿病の治療に使用されていると言われていますが,今後もその患者数は伸び続ける見込みです.
単純に患者数が増えれば,それだけ医療費も増加していきます.
特にアフリカの貧困地域においては,適切な治療を受けられない人が多く,現時点で,インスリンが必要な患者の86%が処方を受けられないようです.
経済的に貧しい国においては,先進国に比べて合併症の発症・死亡がとても高いです.十分な医療を受けられないため,血糖コントロールも悪くなりやすいことが原因です.(というか,治療どころかその日を生きるだけで精一杯の方も当然含まれます).
貧困地域においても糖尿病患者が増え続けている現代において,糖尿病を「贅沢病」というのは完全に時代遅れです.
「治療を受けることすらできない」というのは,国民皆保険でだれもが標準的な治療を受けることができる日本では,とても考えられない問題ですね.
記載:2020年9月15日
更新:2020年9月17日