筆者はインスリン使用中の糖尿病患者です.これまでフリースタイルリブレを2年程度使用していましたが,2023年からDexcomG6を使用し始めて半年程度が経過しましたので,実際の患者さんの意見もふまえつつ,それぞれの長所・短所をあげながら使用感をレポートしようと思います.
装着部位の違い
フリースタイルリブレはisCGM(間歇スキャン式持続血糖測定器),DexcomG6はCGM(持続血糖測定器)とよばれるグルコースモニタリング機器です.
どちらも,1型・2型糖尿病関係なく,インスリンを使用している方で保険の範囲で使用が可能です.なお,どちらも病院で請求される保険点数の差はありません.
1つ目の違いはウデにつけるかハラにつけるかです.
フリースタイルリブレ
FreeStyle Libre Review - Flash Monitoring and Blood Glucose Meter
大きさは500円玉より一回り大きく,装着部位は上腕(二の腕部分)
Dexcom G6
Dexcom G6 Starter Kit | Diabetes Express
横長でリブレより小さい,リブレよりやや厚い
装着部位は腹部.小児では臀部でも可
装着部位に関してはメーカー推奨では上記の通りですが,実際使用されている方は上腕や腹部,脚に付けている方など様々です(誤差や機能など,メーカー保証対象外)
個人的には,ハラにつけるDexcomG6に変更すると着替え時に事故抜去することは少なくなりました.サイズについては,G6のほうが一見スリムに見えますがちょっとした厚みが気になります.あとテープの面積がドデカイので結局大きく見えます.銭湯やプールではG6が圧倒的存在感.
また,ノースリーブの衣服が多い方はDexcomG6のほうが便利,といった意見もあります.隠すならDexcomG6,何らかの理由で着けているのをチラ見させたければフリースタイルリブレがよいです.
ちなみに,剥がした後のガビガビのとれなさは共通です.
メイ元首相,たまにリブレがみえる服着てて素敵.https://t.co/K0TjVhqOd1 pic.twitter.com/mvwFxJ4H7l
— おだQ🧬💉 (@OdaQ_DM) 2021年3月7日
かざす必要があるかかざす必要がないか
もっとも大きな違いがかざす必要があるか,ないかです.
フリースタイルリブレのアタマにはis(間歇スキャン式)がついています.スキャンしたときに初めてグルコース推移がわかる,といった仕組みですので,かざしてびっくりメチャクチャ血糖高い(あるいは低い),という状況がしばしば発生します.
それに対して,DexcomG6は常にBluetoothでスマホと接続され,グルコース値が共有されます.かざさなくても通知画面に常に表示されます.グルコース値がいくつ以上/いくつ以下なら通知が出るように設定もできますので,高血糖や低血糖の対応時間が早くなります.ただしDexcomG6のほうが圧倒的に電池の消費が激しいです.
こちらに関してはどちらも長所とも短所ともなりえるので,どちらが良いかは正直言って人による,といった感じです.血糖コントロールだけに注目するとDexcomG6に軍配があがります.
DexcomG6の緊急低値アラートはとても便利で,重症低血糖が少なく出来ましたという感想もあれば,頻回にアラートが鳴ってとてもうるさいので病む,という意見もあります.
精度と血糖校正について
気になる精度ですが,正直言って両者にそれほど違いはないです.
医学的にはMARDとよばれる数字で比較されます.MARDはリブレが 9.2%*でG6は9.0%**とDexcomG6が若干勝っていますが,実用上はほとんど違いはないと感じます.
ただ,明らかなハズレ個体はリブレのほうが多かったと感じます.ここはメーカー側も認識しており,誤差が大きいセンサーは無償で交換対象となっています.
なお,DexcomG6は自己血糖測定(SMBG)による校正が可能ですが,血糖変動が激しいときに補正すると,余計に誤差が悪化することもありますので,自然校正に任せて数日に1回程度,起床時など安定している時間の補正にとどめたほうが無難です.
なお,両者とも使用1日めと最終日は誤差多めで,使用日数に従って少しずつ誤差が少なくなっていくのは共通です.
*Haak T et al. Diabetes Ther. 2017; 8: 55-73.
**Shah VN, et al. Diabetes Technol Ther 2018;20(6):428-33.
使用一日目(つけて12時間ぐらい)
— おだQ🧬💉 (@OdaQ_DM) 2021年9月9日
実測 95mg/dL
リブレ 111mg/dL
G6 129mg/dL
較正1回目しました。CGMは実測での補正でどんどん正確になっていきます。
G6は補正不要とうたっていますが、やはり必要かなと感じます。 pic.twitter.com/fU0H59KBfv
テープかぶれのしやすさについて
圧倒的にリブレのほうがテープかぶれしにくいです.
元々フリースタイルリブレはテープかぶれしやすい素材を使っていましたが,2021年あたりのロットから対策が行われ皮膚にやさしくなりました.DexcomG6は昔のリブレみたいな感じです.
ここらへんは個人差が大きいので,気になる方はかぶれ対策などを行うのがよいでしょうか.
リブレやG6ユーザーの強い味方。
— おだQ🧬💉 (@OdaQ_DM) 2023年4月27日
●皮膚皮膜剤
リモイスコートなど
皮膚のテープかぶれにお悩みの方は、これでかなり解決します。
あと、1〜2年ほど前にリブレテープの材質が変わって、そもそもかぶれにくくなっています。
https://t.co/MJuE7g3sB9
使用日数について
センサー1コあたり,フリースタイルリブレは14日間,DexcomG6は10日間の使用が可能です.10日間ごと交換は内心ムカつくんですが慣れてきます.細かいことをいえば,1月あたりフリースタイルリブレは28日処方されDexcomG6は30日分もらえますので,G6に軍配があがります.
以上,DexcomG6の使用雑感でした.
ご検討中の方にとって参考になればと思います.