糖尿病医の糖尿病日記

糖尿病(MODY3)の糖尿病医が糖尿病の記事を書きます.

かゆくないフリースタイルリブレの装着方法はあるのか?

自分が外来で診療している,フリースタイルリブレを使用している患者さんのうち,1割程度の方がテープかぶれを原因に使用中断に至っています.
今回は,その対策方法をご紹介します.

f:id:OdaQ_DM:20200901213128p:plain

 アメリカ糖尿病学会誌に投稿された研究によると,フリースタイルリブレを装着した患者のうち5.5%に何らかの皮膚トラブルが発生しています

care.diabetesjournals.org

実際,自分が診察している患者さんでも,皮膚に合わないため泣く泣く使用を断念している患者さんや,痒いのを我慢しながら使用している方が少なくないです.

   

イソボルニルアクリレート(IBOA)が原因

シール成分にIBOAが使われており,ほとんどこの物質が原因で,アレルギー性の接触性皮膚炎が発症します.  

f:id:OdaQ_DM:20200901213622p:plain

(図)イソボルニルアクリレート

 2021年1月追記:上記を受け,最近のセンサーではIBOAが使用されなくなりました.ロット番号が6から始まるセンサーに関しては,IBOAを使用していないようです.これまでリブレでかぶれた方も,一度試してみる価値はありそうです.

ロットの確認方法はこちら:

 IBOA以外にも,テープ素材が皮膚炎の原因になったり,最初の数日間は大丈夫でも,後から汗や皮脂が付着しかゆみが生じる可能性があります.そのため,シールが皮膚に直接接しないことが皮膚トラブルを回避する条件となります.

そこで,自分自身・患者さんに協力してもらい試行錯誤した結果,

  1. 皮膚保護剤(リモイスコート等)を使用する
  2. 上記1.に加えて皮膚用のテープを使用する 

が有効でしたので,こちらでご紹介したいと思います. 

   

1. 皮膚保護剤(リモイスコート等)を使用する

一番簡単です.
スプレーすることで,皮膚の表面に薄いコーティングをつくり,皮膚とテープとが直接接さない状態になります.

アレルギー症状が軽度の方は,これだけで解決することが多いです.

リモイス®コート | 製品ラインナップ | アルケア株式会社より引用

f:id:OdaQ_DM:20210104174512p:plain

人工肛門のストマパウチや,入院中の床ずれ処置のために使用されることが多いです.
もちろん,個人でも購入可能です.

実際の方法は,

①リブレ装着部分を清潔にする
②そこにプシュプシュっとスプレーする
③リブレをつける

以上です.かんたん.

半分くらいの方が,この方法だけでアレルギー症状がよくなります.

 

Amazonや楽天で1700円程度で購入が可能です.1本で1年以上もつかと思います.リンクを張っておきます.

 

2. 皮膚用のテープを使用する

皮膚保護剤のみではカブれてしまう方は,低アレルギー性の皮膚用テープを使うとよいです.

  • 医療用テープ(アルケア社のシルキーポアテープなど)
  • キズパワーパッド(大きめサイズ)

などが選択肢です.

実際の方法を紹介します.

 

①シルキーポアテープを用いた方法

安価で,おすすめの方法です. 

あとは,マーキングしたテープを皮膚に貼った後に,マーキングに合わせてガッチャンするだけです.

もちろん,先程ご紹介したリモイスコート®を併用してもよいと思います.

シルキーポアテープのリンクを貼っておきます.20mで900円くらいです.

 

②キズパワーパッドを用いた方法

薬局などで手に入りやすいですが,少しコスパは悪めです.

 

①定規とペンを使って,キズパワーパッドの中央にマーキングします.

f:id:OdaQ_DM:20200901214819j:plain

 

②ハサミまたはパンチャーを使用して,
マーキングしたところに直径1cmくらいの穴を作ります

f:id:OdaQ_DM:20200901215318p:plain

 

③皮膚消毒をして乾かしたあと、キズパワーパッドを上腕部に貼付します.

 

④リブレを装着します.

キズパワーパッドのサイズが丁度リブレと同じ大きさなので,
外周を写真のようにぴったり合わせれば,ピッタリ穴の部分に刺さります.
(写真はわかりやすいように腕ではなく机の上に貼り撮影しています)

f:id:OdaQ_DM:20200901215423j:plain

 

 

 

一つ気になる点としては,キズパワーパッド自体が1週間ほどでフヤけてきますので,さらに上から防水テープを貼付したり,サラシを巻いたりなど工夫が必要そうです.

また,翼の部分の皮膚が引きつれることもありました.

   

自分が実際に試したところでは,測定血糖値に大きなブレはなさそうですが,メーカー公認の使用法ではないため,測定値に影響を及ぼす可能性があります.
あくまで自己責任のうえお試しくださいね.

 

記載:2020年9月2日
追記:2021年1月4日