糖尿病の合併症といえば、目、腎臓、神経——この3つがまず思い浮かぶ方が多いと思います。いわゆる「三大合併症」として長らく知られてきたものです。
でも、近年注目されてきている「第4の合併症」があります。
それが、骨粗しょう症です。
『えっ?糖尿病と骨って関係あるの?』と思われるかもしれませんが、これ、実はかなり重要な話なんです。
実は、「糖尿病をもつ方は骨折のリスクが高まる」ということが、さまざまな研究で示されています。その原因として、「骨の質」「低血糖の影響」が考えられています。
糖尿病をもつ人の骨粗しょう症は、ただ骨密度が低くなるというだけでなく、「骨の質」そのものが変化していると考えられています。つまり、見た目には骨密度が保たれていても、もろく折れやすい、という状態です。
背景には、長期間にわたる高血糖の影響があります。たとえば、AGEs(終末糖化産物)というたんぱく質の一種が骨にたまり、骨のしなやかさを保つコラーゲンに悪影響を与えることがわかっています。
また、骨を新しく作り出す細胞(骨芽細胞)の働きも弱くなると考えられています。さらに、インスリンにも骨の形成を助ける働きがあるため、インスリンが出にくい状態では骨の健康に支障が出ることがあります。
ただ骨がもろくなっているだけでは骨折することは少ないのですが、糖尿病をもつ方は、低血糖による影響で、転びやすくなる傾向があります。これはどちらかというとインスリンを使用している1型糖尿病の方に多い傾向があります。
つまり、「折れやすい骨」と「転びやすい状況」が同時に存在するという、非常にリスクの高い状態が生まれてしまうのですね。
さいごに最近、もうひとつ重要なキーワードが加わります。
それが「サルコペニア」です。
サルコペニアとは、加齢や運動不足、栄養失調などにより筋肉の量と力が落ちてしまう状態のこと。これに加えて脂肪が多くついている状態を「サルコペニア肥満」と呼びます。
糖尿病をもつ方では、血糖の影響だけでなく、体の中で静かに続いている炎症(慢性炎症)や栄養の偏りなどによって、筋肉が落ちやすくなることが知られています。
骨と筋肉は密接につながっています。筋肉が減ると動く量が減り、骨に刺激が加わらなくなるため、骨も弱くなっていきます。さらに、筋力が低下すれば転びやすくなり、骨折のリスクが一段と高くなるというわけです。
だからこそ、今や「骨粗しょう症」は、糖尿病の4つ目の合併症としてしっかり意識すべきテーマになっています。
じゃあ、どうすれば予防できる?
予防のポイントとしては、骨の検査(骨密度検査)を定期的に受けること、必要に応じてビタミンDやカルシウムを補うこと、バランスの取れた食事、そして運動です。特に筋肉を使う運動(たとえば、スクワットのような筋力トレーニング=レジスタンス運動)が筋肉と骨の両方に良い影響を与えるとされています。また、もちろん血糖のマネジメントも基本です。
骨折や転倒によって生活の質が大きく損なわれる可能性があるからこそ、「骨」と「筋肉」へのアプローチは、糖尿病の医療の中でますます欠かせない視点となってきています★