糖尿病にかかる「人生の時間」って、どのくらい?
マージョリーくん、明日は病院にいくから有給をとるよ。
わかったワン。ところでセンセイ、月1回受診となると、半日でも年6回の有給が消費されるワンね。
通院だけで有給のほとんどが無くなっちゃうねぇ。
糖尿病の治療は年々進歩しています。インスリン製剤も持続血糖測定器も良くなって、糖尿病をもつ人の寿命はどんどん延びて、合併症の頻度も着実に減ってきています。
でも、その一方であまり変わっていないものもあります。それが、「糖尿病にかかる人生の時間」です。
毎月の通院、毎日の血糖測定、食事のコントロール、運動、低血糖への対応・・・。人によっては当たり前になっていることかもしれませんが、改めて振り返ると、けっこうな時間を「糖尿病のため」に使っているのではないかと思います。
病院に行くのも、ひと苦労
たとえば、月1回の通院。
食事や運動療法だけで数か月おきの受診の方もいますが、インスリン治療をしている方や合併症のある方は、どうしても月1回の通院が必要になります。
病院に行くと、
①移動(交通費もかかる)
②受付
③採血採尿
④診察(数分)
⑤会計
⑥調剤
と、ほとんどが「待ち時間」ですが、これだけで毎月半日が潰れてしまいます。
糖尿病じゃなかったら、この時間をもっと別のことに使えてたかも…って思うよね。
学業・仕事への影響も・・・
私自身、幼少期から糖尿病と共に生活してきましたが、よく考えると学業への影響はかなり大きかったように思います。
月1回、必ず午前中は病院に行かないといけない。大学の講義や実習があっても関係なく、結果的に単位を落としそうになったこともありました。
大人になってから糖尿病と診断された方は、「なかった頃」とのギャップが大きいワンね。
それが治療のモチベーションに影響するって話、すごくわかる。
低血糖にも時間を奪われる
糖尿病そのものだけじゃなく、「低血糖」も大きな時間泥棒です。
低血糖を起こすと、回復するまで何もできなくなります。しかも、糖分補給のタイミングを見誤ると、次は高血糖が来たりして、1日の予定が全部狂ってしまうことも。
まさに、生活に干渉してくるってことだワン。
医療者とすれ違わないために
医療従事者には、「糖尿病治療にかかる時間」をもっと意識してほしいなと思います。
目標設定が現実とかけ離れていると、頑張っているのに達成できず、疲れてしまう方も多いんじゃないでしょうか。
糖尿病治療はマラソンのようなもの。短距離走みたいに全力で頑張っても、燃え尽きてしまっては意味がありません。
治療に時間がかかることは仕方ない。でも、それを少しでも無理なく続けられるように、医療者と一緒に「持続可能な治療計画」を立てていけるといいですよね。
通院の回数や内容を見直してもらうようお願いしたり、場合によっては近所の診療所への紹介を頼むのもアリだワン。
「糖尿病とどう付き合っていくか」は、「時間との付き合い方」でもあるのかもしれませんね。