薬は飲まないけどサプリならOK?に隠れた心理

糖尿病内科のセンセイから血圧が高いって言われたから薬を薦められたワン。

※マージョリーくんは、膵臓をとっているのでインスリン注射をしているのだ。

そうなんだ。心配だね。で、薬もらってきたの?

なんか怖かったから断ったワン。それで、代わりにケツアツサガールサプリメントを買ってきたワン。

え!?

 

「薬は拒否するのに、サプリメントは飲む」。そんな行動に、違和感を覚えたことがある人も多いかもしれません。

実際に診療していても、そうされる方は多くいらっしゃいます。

 

なんとなく不思議に思っていたので、「なぜそんな選択を?」という問いかけをしたところ、予想を超えてさまざまな声が寄せていただきました。

今回はその中から、多くの人が共感・納得していた背景や心理を整理してみます。

 

「病気を認めたくない」という気持ちがある

圧倒的に共感があったのがこちらの返信です。

「薬を飲む」という行動そのものが、「自分は病気なんだ」と認めることに直結する——そう感じる人は少なくないようです。

 

「病気って認めたら負けな気がする」という言葉からは、「健康でありたい」という思いの強さがにじみ出ています。

薬=病気の証、っていうイメージがあるのかもね。

 

サプリは「自然」で、薬は「化学」?

 

サプリメントは「食品成分が凝縮されたもの」、一方で薬は「化学物質」という認識は確かにあるかもしれません。

実際のところは、どちらも工場で化学的に作られているものですが、「サプリ=安全」「薬=怖い」と感じてしまう心理的な壁は根強くあります。

中には「薬を飲むと逆に悪くなる」「医療は儲けのため」といった、医療への不信感が根底にあるケースもある・・・かもしれません。

 

情報の見え方が違う

「糖尿病 治す」「血糖値 下げる」とネット検索すると、上位に出てくるのは医薬品ではなくサプリメント関連の情報ばかり。

薬の広告は規制されてるから、サプリの方が目立ちやすいワンね。

そうやって繰り返し見ていると、「サプリの方が効きそう」と感じるのも無理はないのかもしれません。そこらへんは、広告が厳しく制限されている医薬品に比べて、サプリメントメーカーのマーケティングが勝利しているのかなとも思います。

 

「自分で選んだ」という感覚

 

「これがよさそう」と調べて選んだサプリメントは、あくまで「自分で選んだもの」。

それに対して処方薬は、誰かから「出されたもの」。

どちらに信頼感がわくかは、人それぞれですが、自由に選んだり、飲むか飲まないをコントロールできる方が安心感があるというのは、理解できる感覚かなと思います。

加えて、サプリメントは栄養という位置づけで、否定せずに受け入れやすいのかもしれません。

 

サプリメントの商戦は症状のでない慢性疾患と相性がいい

そもそも、糖尿病のような慢性疾患は、放っておくと合併症になるのですが、初期には目立った症状がないため、「元気だから大丈夫」と思ってしまいやすいのも特徴です。

「今すぐ困らない」ことが、かえって治療を遠ざける要因にもなってるかもね。

 

じゃあ、どうしたらいいのか?

この問題に明確な正解はありません。なぜなら医療者側にもある程度の責任があると思っていて、「なぜサプリを選びたくなるのか」「なぜ薬に抵抗があるのか」という背景を考えることは、ヒントになるかもしれません。

大切なのは「薬を飲む or 飲まない」ではなく、納得して選べるかどうか。そのためには、信頼できる情報に触れる機会や、じっくり考える時間が必要なのかもしれません。

 

人の数だけ選び方があるワンね。でも、未来の自分の体も大事にしてほしいワン。

個人的にはとても診療の勉強になる機会でした。