糖尿病医の糖尿病日記

糖尿病(MODY3)の糖尿病医が糖尿病の記事を書きます.

糖尿病外来の帰り,荷物多すぎる問題?

~駅で~

あ,先生.こんにちはだワン。

お、今日は随分荷物が多いね.デパート帰り!?

違うワン!!さっきまで糖尿病内科の診察に行っていたワン.

*マージョリーくんは,すい臓を取っているのでインスリン治療をしているのだ.

毎月,色んな物を持って帰らなきゃいけなくて、両手いっぱい紙袋に大変なんだワン.

何をそんなにたくさん持って帰っているのかな?

まずは、いつもの血糖値測定器の針とチップ,消毒綿,インスリンと,その注射針だワン.あと,今月からはじまったイヌスコムっていうCGMのセンサー,3か月ごとに交換するトランスミッター,その資料やパンフレットもあるワン.

あー,,,大変だね....

 

 

2024年6月に開催されたAmerican Diabetes Association(アメリカ糖尿病機構)の学術総会でちょっと話題になっていたようなので記事を書いてみました.

インスリンや血糖モニタリングデバイスを使用している方で発生する「医療ごみ」が話題になっているのはご存じですか?

元画像はいわゆる「ねた画像」という感じなのですが,この写真から色々な問題を感じ取ることができます.

この写真のおじさまの写真をみますと,おそらく…

・3か月に1回の通院で,
・インスリンポンプ
・持続グルコースモニタリング機器(DexcomG6)

を使用されている方の病院帰りの写真,という感じですね.

この光景は日本でも普通に見ることができます.というか,たとえば大学病院や総合病院に通院されている方で,こういった治療を受けている方は同じ感じになると思います.

患者さんが「病院の帰りには紙袋いっぱいに荷物を抱えなきゃいけないから大変だよ」,と口にしているのも,よく聞きます.糖尿病をとりまくテクノロジー技術は年々進化していますが,「病院帰りの荷物が異様に多い」問題はむしろ悪化しているように感じます.

自己血糖測定(SMBG)は小型化がすすみ,数か月分でもコンパクトにまとまりますが,持続グルコースモニタリング機器(CGM)など一部の血糖モニタリングデバイスは厳重・厳重に梱包された結果,異様にかさばっているのが現状です.

 

糖尿病のデバイスとは直接関係ありませんが,海洋系の専門家からは,医療プラごみが生態系に影響を与えている可能性があることが示唆されています.

新型コロナウイルスの医療プラごみが海洋に蓄積し,生態系に悪影響を与える?~中国と米国の研究者らがモデル計算から推定│コラム・レポート│FSI海洋プラスチック研究

 

 

 

あと,たんじゅんに患者さん自身が荷物が多くて大変なんですよね.

ふだん病院やクリニックの中で診察だけしていると,こういった患者さんの気苦労はなかなか理解しくいので,「通院って結構みんな苦労しているんだよ」ってことを頭に入れたほうがいいですね.

 

そんな血糖デバイスも,どんどん小型化・シンプル化している流れになっていますので,このような医療ごみの問題も解決に向かっていくといいですね.