運動しやすい季節になってきましたね.
たくさん運動した日は,夜間の低血糖に気をつける必要があるのはご存知でしたか?
「運動するときは低血糖になりやすいので注意が必要」,
感覚的にわかりますよね.病院やクリニックでもよく指導されている内容です.
しかしながら,1型糖尿病の方や,2型糖尿病の方でもインスリンの分泌が少ない方は,運動中はむしろ血糖が上昇して,その夜寝ているときに低血糖になる,というパターンがよくあります.
運動した日の夜に悪夢を見たり,なんだか血圧が高い,頭痛で起きたりする場合は夜間低血糖の可能性があります.
なぜでしょうか?
それは,運動で使われるエネルギー(糖質)は,あらかじめ筋肉の中に蓄えられていて,運動した後に徐々に蓄えられているからです.
・グリコーゲン貯蔵の枯渇
— おだQ🧬💉 (@OdaQ_DM) 2022年1月25日
筋肉の中にはエネルギー源として、あらかじめグリコーゲンとよばれる糖質が蓄えられています。
運動(灰色の時間)後、12時間かけてゆっくりと筋肉に取り込まれていきます。そのため、運動後12時間はいつもと血糖の挙動が異なり、低血糖になりやすくなります。 pic.twitter.com/oQllaRJye4
筋肉の中には「グリコーゲン」という糖類が備蓄されています.これは,ブドウ糖(グルコース)がいくつも繋がったもので,筋肉がいつでもエネルギーを使用できるように,あらかじめエネルギー源として蓄えられているのです.
運動中は,筋肉中のグリコーゲンが分解してブドウ糖となり,それがエネルギー源として使用されます.いっぽうで,アドレナリンなどの血糖を上げるホルモンの影響で血糖値が上昇します.
運動で備蓄分を使った後は,また蓄えないといけないですよね.
その影響がちょうど運動後数時間~半日ころに出てくる,というわけです.
対応法としては,夜寝る前に脂肪分が多い乳製品(牛乳やヨーグルト,チーズなど)を摂取したり,ビスケット1単位分などの摂取がよいでしょうか.もちろん虫歯には注意です.
基礎インスリン(トレシーバ®,ランタス®,グラルギンなど)を気持ち減量するのも良い手とは思いますので,主治医に相談するが吉です.
参考文献:
1. Lancet Diabetes Endocrinol. 2021 May;9(5):304-317.