糖尿病医の糖尿病日記

糖尿病(MODY3)の糖尿病医が糖尿病の記事を書きます.

糖尿病に糖質制限食は「イイ」のか?

 

マージョリーくんのお昼ごはん,なんだかお肉ばっかりだね.

血糖が高めって言われたから,イヌスタグラムを参考に糖質制限に取り組んでるワン!

え,それ糖質制限食のつもりで食べてるの?カロリーオーバーになって結局太っちゃいそうだけど!

 

 

「糖尿病と診断されたら、糖質を食べなければよいのでは?」

という話題をよくみます。

単純明快な理論ですが、実を言うと事はそう単純ではなく、良いという専門家もいますし、悪影響という専門家もいます。

 

 

 

糖尿病の方における糖質制限食が有効かどうかの研究は、海外でもたくさん行われています。

いずれの報告も数ヶ月程度の短期的なものですが、「短期間での減量に有効」という報告もあるいっぽう、逆に「コレステロール値が上がってしまう」「合併症の頻度が上がってしまう」という報告もあります。

 

 

さいきんの研究報告をみてると、糖尿病に対する糖質制限治療は

① 合併症のない肥満の2型糖尿病の方で
② 比較的若め(30-40代)の方に、
③ エネルギー比40%程度の糖質量で
④ 短期間(4-8週間程度)

であれば、選択肢の一つ『かもしれない』という感じになっています。

 

たしかに糖質制限は体重が落ちやすいし、インスリンの必要量が減って患者としてはキモチイイのですが、

いわゆる『主食抜きおかず食い』は、油分(飽和脂肪酸)や塩分の過剰摂取につながりやすく、体重や血糖値がよくなっても、長期的には血圧やコレステロール値が悪化し、逆に合併症の原因となりやすいと推測されているからです。

 

SGLT2阻害薬を内服している方は、ケトン体が蓄積しやすく危険なので絶対禁止です。

 

 

 

結論から言うと、けっこう難しいのでアドバイザーなしの自己流はやめたほうがいいです。

具体的な糖質量を決めなきゃいけないのと,脂肪やタンパク質でのカロリーオーバー,塩分に気を配るのは難しいわんね.

ちまたに出てる糖質制限指南書は、糖尿病じゃない人向けに書かれてるってことも頭に入れていおいたほうがよいかも。