シックデイの対策をしておきましょう.っていうけど,医療者もシックデイってあんまりわかってないんじゃない?
糖尿病診療の現場では,ぼくらは「低血糖とシックデイには気をつけるようにしましょー」と年中指導してる.
低血糖の指導は単純で,低血糖症状があり,実際に血糖が低いときはブドウ糖を摂りましょう.低血糖症状はハヒフヘホで覚えましょう.・・・これで正解です.
(ちなみに,ハらがへる,ヒや汗,手のフるえ,へんな脈(どうき),ホうちは昏睡) です.
いっぽうで,シックデイはひとりひとりルールが違って大変.
医師は,ふだんの元気な状態のふだんの生活を基準にして糖尿病治療薬を調整してる.
なので,体調が悪いときや,普段どおり食事がとれないときは,血糖が高くなりすぎたり低くなりすぎることがある.
これがシックデイです.
一般的には,「シックデイ時にはメトホルミンとSGLT2阻害薬は中止して,他の薬に関しては主治医と相談しておきましょう.1型糖尿病の方はインスリンをやめてはいけません.」といわれてる.
糖尿病患者の皆様へ:今一度シックデイ対策を|公益社団法人日本糖尿病協会
たとえばメトホルミンとSGLT2阻害薬は,水分がとれず脱水症がおこると「アシドーシス」や「ケトーシス」など,危険な症状のリスクになる.それを避けるためにやめなきゃいけない.それが理由.
インスリンに関しては,たとえばインスリン分泌が残っていない方(いわゆるIDDMの方)だと,インスリンをやめることは,ケトーシスやケトアシドーシスに直結する.それが理由.
でも,他のくすりに関して細かくルールを決めてることは少ない.
あと,医者側が指導していたつもりでも,じっさい患者側としては覚えてないことも多いし,なにしろ具合が悪いんだから,そんなこと思い出す余裕もない.外来でもらった紙はどこにあるのかもわからないし,入院したのはもう幾星霜という感じで覚えていない.
というか,薬を飲み始めることになったときも大した説明を受けた覚えもない.
患者側としては,どうする・・・?わかんないからとりあえず飲むか.ってなる.
あと,実際どこからがシックデイなのか?シックデイじゃないのか?っていうのは患者本人はもちろん,医療者もわかっている人は少ないんじゃないかなと思います.
僕としては,シックデイ=具合が悪い日,ではなくて,普段どおり食事ができてないとき全部をさしても良いと思います.それぐらいなんとなくのイメージで.
たとえば病気じゃなくても,8月9月の夏バテ,仕事がもう繁忙期で食事すらとれない,台風や地震などで避難生活をしてる,女性ならば月経期間とか.あとは恋人にフラレて食事が食べたくない日もシックデイ....といってもよいです.
そういう軽めのシックデイのときに自分で調べたり,かかりつけ医やスタッフにひとつひとつ確認して血糖コントロールにつなげていけば,例えばコロナなどの「重めのシックデイ」にも対応できるのではないかと.
どうすればわからないとき,意外と主治医は相談に乗ってくれると思います.わからないことは電話などで問い合わせてもよいかもしれないです.
医療者側は指導するだけじゃなくて,聞きやすくする環境づくりも大切かもしれません.
シックデイに関するぼやきでした.
乱筆乱文失礼しました.
なお,シックデイに関する正しい(笑)知識は↓の記事が参考になります.
12. 病気になった時の対策 シックデイ・ルール | 糖尿病セミナー | 糖尿病ネットワーク
また,2021年9月の「とうにょうびょうトーク」でシックデイのことを話題にしました.小野えあ先生 @eajoymd がまとめてくれた資料もぜひご参照ください.
鉄は熱いうちに打て。昨日のスペースを受けてつくってみました(患者さん向けかな、sick day rulesについて。)
— 小野えあ🪓糖尿病の糖尿病医 (@eajoydm) 2021年9月9日
ちなみにこんなポンポン画像作れるのは最近割と落ち着いているからです。🙄
#糖尿病 #sickday #インスリン pic.twitter.com/0XVOeVoz9Q