糖尿病医の糖尿病日記

糖尿病(MODY3)の糖尿病医が糖尿病の記事を書きます.

僕がMODY(家族性若年糖尿病)と診断された話③

前回の記事の続きになります.

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きずついた患者会

10歳で2型糖尿病と診断された自分ですが,毎日の内服や体調管理に
少しずつ慣れてきました.


中学生のとき,通っていた病院に「患者会」の案内があり,
なにか分かるかもしれないと思い参加することにしました.

「患者会」とは,糖尿病と診断された方達が集まり,
意見交換をしたり,交流をする会のことです.


糖尿病の方は,周りになかなか言い出しづらいこともあり,社会的に孤立しやすい現状があります.

そこで,同じような悩みを抱える方が集まることで,自分ひとりで治療をしていくよりもモチベーションアップにつながります.

 

僕は2型糖尿病でしたが,10歳発症なので,
同じような年齢が集まる「ヤング糖尿病」というグループでした.

当然,ヤング糖尿病の会には,1型糖尿病の方ばかりでした.

 

当時は(現在でも多少),世間では
糖尿病イコール生活習慣病という認識でした.

特に,生活習慣が関係なく発症する1型糖尿病の方は,
2型糖尿病と間違われることはとても嫌なことだと思います.

 

odaqdm.com

 

そんなこともあってか,みんな子どもということも重なり,
2型糖尿病の僕への言葉は,なかなか凄まじいものがありました.

 

「きみは若いのにIDDM(1型糖尿病)じゃなくて,NIDDM(2型糖尿病)なんだね.そんなに生活習慣が悪かったの?」


「運動不足なんじゃない?」


「ジュースいっぱい飲んでた?」


「みんな糖尿病といえば生活習慣病って言ってて,きみのような2型糖尿病と一緒にされるのがすごいイヤなんだよね.」

 

他の糖尿病の方がすっかり怖くなってしまい,それ以来患者会には行かなくなってしまいました.

(僕も皆と同じで,糖尿病になりたくてなったわけじゃないのに・・・.)

今のようにインターネットですぐ情報が出る時代でもありません.
そうして,どうして自分が糖尿病になったのか,わからないまま時が経ちました.

   

MODYという病気の存在を知った医学生時代

幸い,大きく体調を崩すことはなく,中学,高校を卒業することができました.

自分のように糖尿病で大変な思いをしている人を治療したいと思い,
医学部に行くことにして,運良く合格することが出来ました.

 

医学部の図書館には,あらゆる種類の医学書が置いてあります.

当然,糖尿病の医学書も多く,自分のようなタイプの糖尿病について
手がかりがないか,調べることにしました.

 

その当時は,遺伝型糖尿病の分野はほとんど記載がなかったのですが,


『糖尿病には,1型糖尿病,2型糖尿病,妊娠糖尿病,「その他の糖尿病」がある.』

『血糖の調整に重要な遺伝子が異常をきたし,1型でも2型でもない糖尿病を発症することがある』

『子供のときに発症するので,1型糖尿病に間違われやすい』

『25歳より前に発症し,肥満(太っていること)を伴わない』

『遺伝子検査を行い診断する』

 

という文章を見つけ,
これはまさしく,僕のことだ!と思いました.

 

そこで,病院実習のときに,糖尿病科の先生に自分の病気のことを相談してみましたが,はっきりとした結論は出ませんでした.

残念ながら,(その当時,あるいは現在も)遺伝型糖尿病に関しては,糖尿病専門医の先生にも十分に知られていないようでした.

 

MODYの存在を知るという,大きな進展はありましたが,
実際どうやって遺伝子検査ができるかわからず,診断は叶いませんでした.

 

糖尿病への差別に悩んだ研修医時代

そうこうしているうちに,医学部を卒業することができました.

しかし,すぐに一人前の医師というわけではありません.


医師国家試験に合格しても,まずは研修医として2年間いろいろな診療科をまわり,
経験を積む必要があります.その後に,自分の進む専門科を決めるのです.

 

指導医の先生は,自分がどういった科にすすみたいのか,必ず質問してきます.
僕は,自分が糖尿病になったことがきっかけで医者になったわけですから,
「糖尿病内科へ進む予定です」と答えます.

 

しかし,

 

『糖尿病患者なんて,よく一生診ようと思うね.キャラ悪い人ばっかりじゃん.』

『自己責任であんな病気になるわけだから,別に見なくていいんじゃない?』

 

といわれることもしばしばありました.
影で糖尿病の患者さんの悪態をつくスタッフも多かったです.

 

こういった糖尿病の方への偏見・差別は「スティグマ」とよばれ,大変問題になっています.本来ならば患者さんに寄り添ってあげなければいけない医療者がこうなのですから,医療者でない方は尚更です.最近では,日本糖尿病学会・日本糖尿病協会が協力し,こういった差別をなくそうという運動がありますが,糖尿病イコール生活習慣病,自己責任という考え方が根強いのが現状です.

日本糖尿病学会・日本糖尿病協会合同 アドボカシー活動|公益社団法人日本糖尿病協会より引用

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そのような差別的発言は,
そのまま,自分自身に言われているように思えました.

こんな状況で,自分が2型糖尿病であることなんて言えないですよね.
「そうですかねぇ,ハハハ・・・」
と愛想笑いすることしかできずに,研修医を終えることになりました.

 

長くなってごめんなさい.次で完結の予定です.

 

※追記・注:この記事は特定の病型の方や医療者を非難するものではありません.