記載:2020年8月26日
この論文をひとことでまとめると:
人工甘味料入りの清涼飲料水は,血糖値への影響はごくわずか.
しかし,常用している場合は食習慣の悪化につながり,結果として肥満になりやすい可能性がある.
本日は日本語論文です.
Artificial Sweeteners and Glucose Metabolism: A Review of the Literature Published Since 2000
人工甘味料と糖代謝:2000年以降の臨床研究から
〇背景:
- 近年の健康志向,ダイエットブームを受け,人工甘味料を用いた清涼飲料水が増加している.
- 米国糖尿病学会,米国心臓学会においては,「うまく使い糖質の摂取量を抑えられれば,減量や血糖コントロールに有益かもしれない」とのスタンスを示している.
- しかし,本邦における人工甘味料使用に関する見解は未だ確立されていない.
- そこで,本邦で使用の多い,アスパルテーム,アセスルファムK,スクラロースを用いた食品,飲料についての臨床研究を検索し取りまとめた.
〇方法:
- PubMedおよび医中誌を用いて,2000年1月から2012年8月に発表された文献のうち,"アスパルテーム","アセスルファムK","スクラロース"の3種及び"糖代謝","糖尿病", "肥満"を組み合わせてキーワード検索し抽出を行った.
- 上記で抽出された文献結果から考察を行った.
〇結果:
- 18編の文献を選択した.
- すべて海外からの報告であり,国内報告はなかった.
- うち10編が観察研究であり,2編で人工甘味料の常用が肥満のリスクに繋がり,1編で2型糖尿病発症リスクに繋がるとの報告があった.
- うち8編が介入試験であり,以下,介入試験の文献8編の結果を示す.
文献より引用:
使用された人工甘味料(スクラロース,アセスルファムK,アスパルテーム)いずれも糖代謝に影響を及ぼすことはなかった.
〇結論:
- 人工甘味料の接種は糖代謝に影響を及ぼさない可能性が示唆された.
- しかし,人工甘味料の常用は肥満および2型糖尿病発症のリスクとなりえる.
いちど甘いものを摂取してしまうと,舌が覚えて,ますます甘いものが欲しくなっちゃいます.甘いものを摂取する習慣は控えて,どうしても摂取したい場合に人工甘味料を利用するのがよさそうですね.